まずは、事業内容について教えてください。
事業内容は大きく二つあります。
一つが、デジタル広告事業です。運用型広告を代行する事業、広告代理店業です。
GoogleやYahoo!、FacebookやLINE、Twitterなど様々な媒体に顧客企業様のサービスを適切に掲載していく事業です。
もう一つが、テクノロジーソリューション事業、海外のマーケティング系テクノロジープロダクトを扱う代理店事業です。
主にイスラエルなどの海外にあるスタートアップ企業と提携し、そのプロダクトを取り扱っています。業種としては、デジタルマーケティングテクノロジーにあたりますね。現在20社前後の企業と提携しておりまして、彼らのプロダクトを日本企業に導入しています。例えるなら、商社のようなイメージが近いかと思います。現在は、このテクノロジーソリューション事業のほうがメイン事業にあたります。
2005年創業で、創業から17期目になります。受託事業からスタートしつつ、いろいろと事業をピボットしながら、SaaSにあたるサービスをリセラーとして扱うようになりました。
社員数は現在、何名くらいでしょうか。
現在、90名前後です。社員数50人を超えたのは2015年、5年前になります。
もともとあったビジョンはどんなものでしたか。
「四方よし(世界、顧客、パートナー、自社)を追求し続け、世界中と関係性を広げ深める」というビジョンを掲げていました。今回の、THE VISIONでのビジョン定義とは異なりますが、”ビジネスを通じて実現したい世界”をビジョンの定義として定めていました。
2005年の創業期より、なぜ、何のために、誰とビジネスを共にするのか(人生を共にするのか)には拘ってきました。様々な変遷はありながらも、経営理念を軸にギャプライズは運営されてきました。
今回、ビジョンメイキングを導入しようと思ったきっかけは何でしょうか。
コロナ禍で、リモートワーク中心のワークスタイルに舵を切ったことです。リモートワークの流れのなかで、今後、働く場所や働き方に自由度をもうけて、今後もずっと本人の意思決定に任せていこうと思ってます。
従来、オフィスに集まって仕事をしたりコミュニケーションを取ったりするなかで、日本人特有の「察する」文化として、理解や共感を深める機会が多くありました。
そのため、経営理念に関しては「あり方」を重視していました。相手に、自分たちのあり方、事業を通してどういうインパクトを伝えていくんだ、という、どちらかというと外向きというよりは内向きに作っていたイメージでした。
しかしコロナ禍で、非言語コミュニケーションを含め、オフィスで面と向かったコミュニケーションの総量が減っていきました。
そのなかで、「なぜ、何のために、誰のために、誰と仕事するのか」という「WHY」の部分をもっと大事にする必要がでてきました。
言葉で補いあえる時間が確実に減るのであれば、それをカバーする力強いビジョンが必要になると確信しました。ビジョンによって全員が同じものをイメージし、「なぜやるのか」に対して共通認識が必要だったのです。
短くインパクトのあるわかりやすい言葉で、その言葉を見聞きした人が同じものをイメージでき、そこに向かって100人いても2000人いても同じ未来に向かって働いていける。そういうビジョンを作りたいと考えていました。
「THEVISION」およびエナジャイズを知ったきっかけは何でしたか。
エナジャイズさんとは昔から仲良くさせていただいていました。
『THE VISION』の本は先に読んでいたので、江上さんも交えたビジョンメイキングのセミナーに参加したのですが、「確かに、あったほうがいいな」と思ってはいました。その一方で「いつがいいだろう」と思っていました。その矢先のコロナ渦でしたから、一番の後押しをしてくれたのはCOVID-19だといえますね。
導入当初、社内でどんな反応がありましたか。
ファシリテーターがいたほうが議論がはかどるということは、それまでも多々経験済みでした。そのため、外部からファシリテーターを入れることについては抵抗はありませんでしたね。
ビジョンメイキング初回の様子はどうでしたか。
2020年の夏から開始したのですが、今回の目的から考えて極力多い人数を参加させたいと思いました。初回セッションに参加したのは32人。全社員の3分の1ほどが参加してくれました。半数以上は任意参加で自ら手を上げてくれました。
遠く離れた場所でも同じものを持って仕事に向かうのであれば、その作るプロセスを共有したほうが出来上がったビジョンに対してオーナーシップを持てるだろうと考えました。
オープンな場にすべく、基本的に希望者は全員参加OKにしました。参加した32人の中にはマネージャー、マネージャー候補、部によっては部の全員が参加していました。オンラインだからこそ実現可能でした。
ビジョンメイキング中にどんな変化や気付きがありましたか。
大きな変化があったというよりも、もともと持っていたもの、言語化されていなかったものが表面に出てきたイメージですね。
・何を大事にして、何を目的にしてギャプライズに入社したのか。
・いま、お客様と接するときに、何を大事にしているのか。
こうした仕事の「コア」になるところが徐々に言語化されてきました。
僕は社員一人一人と十分な時間を持てているわけではないので、意見をたくさんもらえる良い機会でしたね。お客様やチーム、会社、パートナー企業たちを真面目に丁寧に正面から考えてくれてるんだなと感じる場面がすごく多かったですね。
2回目以降のセッションも大人数のまま、できるだけ多くの人数に参加してもらいました。
結果、どのようなミッションやビジョンが生み出されましたか。
今回、次のようなビジョン、ミッションが生まれました。
まずビジョンは、「日本のデジタルマーケティングを世界標準へ World without Tech Boundary」です。
このビジョンは、世界中の良質なプロダクトを顧客企業が活用していく中で、さらに良いものを日本から生み出していく。そして日本のレベルが世界標準となる水準までデジタルマーケティングのレベルを上げていきたい、というイメージです。
次にミッションは「顧客の”やりたい”を実現する Co-breakthrough your digital business」です。英訳の「Co-breakthrough」には、顧客に伴走し、共にブレイクスルーを起こしたい、望む未来を共創したい、という意図を込めました。
アイデンティティは「四方よしを追求する Co-success with all stakeholders」。以前にビジョンとして掲げていた「四方よし」を私たちの自己像として採用しています。
コンセプトは「最先端テクノロジー✖️情熱的な人のチカラ Cutting edge technologies ✖️Passionate team」。以前にミッションとして掲げていた言葉です。
バリューは「リーダーorフォロワー」「昨日を超える」「変化を楽しむ」の3つです。どのような状況でも当事者であり、日々の成長を大切にし、環境の変化を楽しめる、ギャプライズはそんな素敵な人たちが集まる”場”でありたい、という意図を込めています。
策定したビジョンやミッションを、これからどのように活用していきますか。
日々の活動の中で使うのは、「バリュー」である
・リーダーorフォロワー
・昨日を超える
・変化を楽しむ
だと考えています。
バリューを作っても、額縁に入れているだけではだめです。どれだけ普段から使う「問い」に落とせるかだと考えています。
バリューをどう使って、どういう問いかけを作ろうか。そういうのは希望者からどんどんアイデア出してもらっています。
ビジョンメイキングにあたり、エナジャイズに依頼したメリットは何でしたか。
進行はちょっと大変そうでしたけど、第三者として冷静な意見をもらえるのがよかったですね。
秦 卓民さん(エナジャイズ代表)もオブザーバーで参加してくれ、あのキャラクターでズバズバと言ってくれていたのは効果的でしたね。
ビジョンメイキングを経て、今後どのようなことを期待していますか。
「なぜやるのか」が、ぶれないことがもっとも大事だと考えています。
どこに向かって行くか、そのゴールが一緒でありながら、それぞれの立場で主体的に動ける。
状況に応じて自身がリーダーであったりフォロワーであったりしますが、そのなかでチームプレイとして自分自身のできることとやりたい事を合わせていく環境にしたいです。
自分の言葉で、「なぜ自分がここの会社にいるのか」「会社はどうなろうとしているのか」、それを人から聞くだけではなくて、自分の言葉で堂々と説明できる、伝えられる。
全員がそういう存在になってほしいなと思いますね。
最後に、ビジョンメイキングに興味がある企業に一言お願いします。
ビジョンが不要な会社は存在しないと思います。「なぜ、何のためにやっているのか」。それがないと、必ず行き詰まります。
業績の数字が良いときはいいかもしれませんが、会社経営では「そういえばなぜこの会社をやっているんだろう」と考えるときがあります。
もともと個人の中にはあるもの、それを見つけ出す作業がどの会社にも必要です。ビジョンメイキングを通じて、それを形にしてほしいと思います。