事業内容 | 洋樽製造販売(業務用樽、家庭用熟成ミニ樽) |
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従業員数 | 47名 |
インタビュー日時 | 2025年5月 |
HP | https:https://ariakesangyo.co.jp/ |
日本で唯一の洋樽専業メーカーとして、半世紀以上にわたりお酒づくりの裏側を支え続けている有明産業株式会社様。京都・伏見に本社、宮崎に工場を構え、ミズナラやサクラ、ヒノキといった日本固有の木材を用いて、ウイスキーや焼酎、ワインなど多様な酒類の熟成に最適な樽の生産をされています。また近年は樽に止まらずお酒のトータルサポートをする会社として新たなチャレンジを果敢にされております。
今回は有明産業様と「会社のビジョンを言語化していくプログラム(以下、VISION MAKING PROGRAM)」を実施させていただきました。そのご感想を、代表取締役 小田原伸行様、取締役坂本賢弘様にお伺いしました。
導入する前、どのような課題を抱えていましたか?
小田原さん:
実は、以前から経営理念やビジョンは存在していました。でもそれは「樽づくりの会社としての理念」でした。当時はまだ事業の中心がそこだったからそれで良かったのですが、今は事業ドメインを拡張して、お酒のトータルサポートやお酒業界のインフラとしての役割を果たすようになってきています。だからこそ、改めて自分たちのビジョンを言語化していく必要があると思っていました。
会社の売上が10億を超えて、組織も拡大し始めたこのタイミングで、もう一度「目指すべき場所」を明確に言語化しておかないと、次の成長が鈍る。その危機感が強かったですね。組織を次のフェーズに進めるための“成長エンジン”として、ビジョンづくりが必要だと確信していました。
坂本さん:
私が感じていたのは、毎年方針発表大会で年間方針や事業計画の発信していましたが、それぞれが「分かったつもり」になっていたということです。結局、走り出すものの掲げた目標には届かない。そんな状況が続いていました。振り返ると、社員一人ひとりの認識や解釈がバラバラだったんだと思います。何に向かって、どう動くのか。その認識をきちんと揃えないといけないと強く感じました。そんなときに出会ったのが「ビジョンづくり」でした。単なる言葉をつくる作業ではなく、メンバー同士が自分の想いや考えを言語化することで「会社をひとつにする再起動のチャンス」だと捉えて、社長に提案しました。
導入を決めた決め手は何でしたか?
小田原さん:
決め手になったのは方法論がきちんと理論立てられていて、体系的に組み立てられていたからです。正直、自分たちだけでゼロからやるのは無理だと思いました。深く対話をするためには、第三者が入ってファシリテーションしてくれるのが必要不可欠だと考えていて、外部の視点と構造化された進行があるからこそ、我々の内面にある想いや価値観を掘り起こせるし、それを言語化していくことができる。単に“外注する”というより、そこに本質的な価値を見出せたので、「やろう」と決めました。
坂本さん:
決め手はやっぱり、水谷さん(担当コンサルタント)の「あり方」ですね。初めてお会いした時の話し方ひとつ取っても、人としての誠実さや熱量がすごく伝わってきて、「この人なら任せられる」と思いました。実際に話を聞いた時に、成果が出せるイメージがかなり湧いたので伴走をお願いしました。
コンサルティングを導入して、どんな成果が出ましたか?
小田原さん:
まず、経営発表会でビジョンをみんなに伝えたとき、自分の中でもはっきりとした「想い」が乗っていた実感がありました。以前は、「理念やビジョンはどこか抽象的なもの」と思っていた部分もありましたが、今回は違いました。自信を持って話せるようになっていましたし、「これが自分たちの方向性なんだ」と堂々と伝えることができました。
実際、各部署のメンバーとビジョンを一緒に作り上げていったことで、その過程自体が貴重な共有の場にりました。単にできたものを「はい、これです」と渡すよりも、作るプロセスを通して自然と認識が揃っていく。そうすると、想いや背景への理解度も深まり部署間での温度差をなくすことにもつながりました。
坂本さん:
私は営業を見ているのですが、営業部門でも明らかに変化がありました。自分たちで勉強会を開いたり、自主的にアクションを起こすようになりました。それまでは、「社長がこう言ってるから、こうやる」という受け身の姿勢も正直あったのですが自分たちで考えて、どう動くかを話し合えるようになってきました。また他のリーダーたちと話すときにも、共通のゴールがあるからこそ、意見をぶつけ合えるようになった感覚があります。「何のためにやるのか?」が共有できていると、議論の質がまるで変わってきて、お互いが言っていることの背景や意図が分かるからこそ対話の深さが増しました。
プロジェクト全体を通して、一番印象に残っていることは何ですか?
小田原さん:
自分が黙っていてもどんどん進んでいったということが一番印象に残っています(笑)会社の根幹を作るというハードなプロジェクトだったので、もちろん私もすごく頭も使いましたけど、それ以上に「任せる」ということを意識しました。
あとは、短期間でここまで作れるんだという驚きもありました。短期間で集中したからこそ要点が絞られて本質に迫れた部分もあると思っています。一気に進めることで、全員エネルギーが途切れないまま走り切れた。この経験はとても印象に残っています。
坂本さん:
いちばん驚いたのは、想像以上にみんなが熱量を持って発言してくれたことです。以前だったら、社長が話して、それを周りが「聞く」という構図が当たり前でした。でも今回は各リーダーが、自分の言葉で想いを語っていてその変化がとても印象的でした。発言するということは、自分の中で考えを整理して腹落ちしてないとできないと思っているのですが、今回はそれを自分の言葉で、全メンバーが堂々と語ってくれる。それが本当に嬉しかったです。今回それができる場がつくれたことが何よりの収穫でした。
ENERGIZEのサポートについて、どんな評価をされていますか?
小田原さん:
ENERGIZEさんの支援は、正直“想像以上”でした。特に印象的だったのは、こちらが気づいていない部分までしっかり拾って、形にしてくれたところです。私たち自身が言語化しきれていなかったことや、曖昧だった価値観の部分も、丁寧に問いを投げてくれて、「あ、それってこういうことなんだな」って自然と輪郭がはっきりしてくる。あれは本当にありがたかったですね。
あとは、やっぱり人の力を感じました。特に担当してくださった水谷さんは真摯で、熱量があって、最後まで伴走してくれた。形式的なファシリテーションじゃなくて、私たちの組織に深く入り込んで、想いの部分にまで光を当ててくれた感覚です。
坂本さん:
「一緒につくってくれる」という姿勢が終始ブレなかったのが印象的でした。ただの“外部コンサル”ではなく私たちの中にあるものをちゃんと引き出して、それを言語化するところまでしっかり並走してくれる。ちゃんと我々に向き合って問いを投げてくれるのでこっちも本気で向き合える。その対話の積み重ねが、結果として、このプロジェクトの成功につながったと思います。ENERGIZEさんがいなかったら、ここまでのものは絶対にできなかったと断言できます。
このビジョンのコンサルティングを、どんな企業にお勧めしたいですか?
小田原さん:
特におすすめしたいのは、規模が大きくなり始めている企業です。例えば売上が10億を超えて組織が多層化してもビジョンや理念が曖昧だと、各部署が勝手な方向に動いてしまう。だからこそ「いま何のために、どこを目指すのか」を共通言語にする必要があると思います。逆にそこがないと、どれだけ戦略を立ててもブレてしまうと思います。
もう一つは、「ブランド力を上げたい」と思っている企業です。ブランドって結局“理念やビジョンをどう体現しているか”に尽きると思います。表面的なロゴや広告じゃなくて、「この会社は何を大事にしているのか」が明確で、ぶれていない。そう感じてもらえるかどうかが、ブランド力の本質だと思います。
だから、成長を目指す企業も、信頼を築きたい企業も、このコンサルティングはぜひ導入してみてほしいですね。
坂本さん:
正直に言うと、「ほとんどの会社さんに勧めたい」です。今、社会やお客様の価値観もどんどん変わってきている中で、昔のままの理念やビジョンを使い続けている企業が実は多いと思います。でもそれは“今の事業”や“今の組織のあり方”に、本当にフィットしているのか?というとそうでもない場合が多いと思います。
ビジョンはただ壁に貼るためのものではなく採用でも営業でも、経営判断でも、すべての軸になるべきもの。だからこそ、一度立ち止まって、「我々は何のために存在しているのか」「どこに向かうのか」を問い直す価値は、すべての企業にあると思います。