事業内容 | 障がい者就労継続支援A型サービス 児童発達支援・放課後等デイサービス 地域商社事業 飲食事業 ものつくり事業 マッチングプラットフォームサービス |
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従業員数 | 136名(2025年4月1日時点) |
インタビュー日時 | 2025年5月 |
HP | https://keipe.co.jp/ |
『障がいを特別なものにせず、誰もがそこにいていい社会にする』というVISION、『心が満たされる場 働く喜びを伝える人を創る』というPhilosophyのもと、山梨から、障がいのある方の「働く」を叶えるための様々な事業を行っているKEIPE株式会社。
『求職者の「運命の人」になる』をテーマに、障がいのある方の採用活動を行っているリクルートチームに対して、「社内のトップリクルーターの能力を言語化・体系化し、再現性のある育成の仕組みを作ることで採用数を向上させるトレーニングプロジェクト(秘伝のたれプロジェクト)」を行ったご感想を、代表取締役 赤池 侑馬様、就労支援事業責任者 風間祥吾様(トップリクルーター)、リクルートチームリーダー 松原美映様(トレーニー)に伺いました。
※トレーニングは、トレーニーの松原さんに加えて、7名のサポーターの方(採用後の就労支援等、採用以外の業務をメインとして行っているメンバー)の計8名で実施しました。
導入する前、どのような課題を抱えていましたか?
赤池さん:
事業を推進する上では、トップダウンで進めていった方が早く伸びることは多いと思うのですが、僕自身「自主経営の組織を作りたい」という思いがずっとありました。
ただ、そのために必要な制度が整っておらず、どのようにみんなに伝えていったらいいのかもよくわからない。以前、ティール組織をトップダウンでやろうとして失敗した経験もあって数年間ずっとモヤモヤしていました。
そんな時にCMP(ENERGIZEの自主経営組織を作る原則を学ぶプログラム)をきっかけにENERGIZEと出会い、「自主経営の組織を作るために、何から始めたらいいだろうか?」を佐藤さん(担当コンサルタント)と一緒に考えていきました。
その結果、まずは一人ひとりが作り出す成果が明確になり、その成果に向かってみんなが成長できる環境を整えたい、という結論にいたりました。ただ、そのために具体的に何をしたらいいのかは本当に分からなかったというのが当時の状況だったんです。
風間さん:
私たちの就労支援事業において、障がいを持つ方の採用を強化していきたいという思いがあったのですが、なかなか思うように採用することが出来ていませんでした。自分の中では、「こうやれば採用ができる」という方法もわかっていたし、ノウハウもありました。
でも、それが一緒に採用に取り組んでくれていたスタッフには伝わらない。自分でやってみせたり、都度ポイントを伝えたりしてはいたのですが、本質を自分の中で言語化出来ていなかったので、スタッフになかなか伝わらず、採用数が伸びないもどかしさがありました。
松原さん:
私は、そもそも「何がわからないのかもわからない」という状態でした。勢いだけで動いていたのですが、何が課題なのかも整理できておらず、ただなんとなくこれまでやってきたことを業務として繰り返しているだけの状態でした。
導入を決定した決め手は何でしたか?
赤池さん:
秦さん(弊社代表)、佐藤さんと話をしていく中で、ENERGIZEがとてもエネルギーの高い組織だなと感じたんです。
正直、自主経営というと、どこか落ち着いていて、エネルギーの高さとは共存しないイメージを持っていました。でもENERGIZEは違って、エネルギーが高いまま、自主経営を実践している。そこが一番刺さったところでした。
また、自分たちが実際に実践してきた知見をオープンに共有してくれる姿勢や、こちらからのどのようなオーダーに対しても誠実に応えてくれる。そういうところに信頼を感じて、お願いをしようと決めました。
プロジェクトを実施して、どんな成果が出ましたか?
松原さん:
これまでは2,3ヶ月に1人採用ができる、という状態だったのですが、直近の3ヶ月間では計14名の方を採用することができました。
また、私たちの会社では、障がいを持つ方からの問い合わせから採用に至るまでに、弊社の業務を一度体験していただくステップがあるのですが、問い合わせから体験への移行率が20%から90%にまで上がり、ほとんどの方に体験のステップに進んでいただけるようになりました。このトレーニングを通じて、就職することに不安を抱えている人たちに対して、「まずやってみよう」と思ってもらえるような動機形成ができるようになったことが大きな要因だと思います。「就労支援って、ただのマッチングではないんだ」と心から思えるようになったんですよね。
定性的な部分でいうと、私にとって一番の成果は、“あり方”が変わったことです。それまではただ業務としてこなしていたのですが、トレーニングを通じて、「求職者の運命の人になるんだ」という覚悟が生まれました。私自身のあり方が変わったからこそ、今自信を持って求職者の「働く」を叶えられていると感じています。
風間さん:
力強いチームになりましたね。採用に関して不安要素が減りました。
採用は相手次第の要素が多いですが、松原さんにコミットメントが生まれたことをきっかけに、「難しい」ではなく「やるんだ」という文化の土台ができました。「福祉事業だから仕方ないよね」ではなく、相手の「やりたい!」を引き出す、求職者が「気づいたらやってました」という状態を作っていくことが私たちが目指す世界なのですが、その世界の実現に向けて変革をしていく上ですごいものができたと思っています。
プロジェクトのタイミングも良かったです。A型事業所の運営が全国的に難しくなる中で、私たちは「さらに強化していこう」と世の中とは逆の動きができました。それが14名の採用という結果に繋がりました。
また、サポーターの人たちのアクションも変わりましたね。ずっと見てきた私からすると、正直トレーニング中にあれほど主体的に手を挙げてくれるとは思いませんでした。アウトプットする機会があり、みんなで目標に向かって一緒にやるんだ!という時間があることによって、「こんなに人が変わるんだ」ということに気づけたことがとても良かったです。
赤池さん:
リクルートチームは、それまでKPIすらなく、どうやって自分自身・チームを成長させていくと良いのかを社内の誰もわかっていない状況だったと思います。そこからこのプロジェクトを通して、まずは目指す先が明確になり、その上で社内にある暗黙知が形式知化されて、計画的にトレーニングができるようなアウトプットが作られたことがとても価値がありました。目標と、そのために何をするのか?が明確になったことで、スタッフがイキイキと成長に前向きになりました。
また、トレーニングに取り組んでくれていたスタッフはもちろんですが、その周りのスタッフも刺激を受けて、みんなが成長することへの喜び、成果を作りだすことへの喜び、貢献することへの喜び、ひいては働く喜びを体現するようなトレーニング期間だったと感じています。
文化の醸成やスタッフ一人ひとりのマインドのセットアップなど、Whyの部分はこれまで力を入れてやってきたのですが、Whatや具体的なHowが弱かった感覚があります。今回のプロジェクトでそこをENERGIZEと一緒に作ったことで、WhyからWhat、Howが繋がった感覚ですね。
あとは、単にトレーニングを行うだけではなくて、ENERGIZEの方々がスタッフに対してコーチ的な1on1の関わりをしてくれたことで、信頼できるパートナーとしてスタッフの人生にまで関わってくれた実感がありました。松原美映さんに関しては、佐藤さんとの出会いで人生が変わったんじゃないかと思います。それぐらいの深い関わりでした。
プロジェクトを進めていく中で、メンバーにどんな成長や変化を感じましたか?
赤池さん:
このトレーニングを通じて、スタッフのみんなが「自分が働く喜び」を見つけることができたのではないかと思います。成果に対する基準もあがりました。成果が出るとやっぱり楽しいので。成長したり、新しいことを学んだりというのが社内だけの固定化された環境の中だとどうしても目線が下がってしまうこともあると思いますが、外部の新しい風を入れることで、全く違う世界が開かれることに気づくことができました。
また、ENERGIZEの皆さんの姿勢や会議の進め方、顧客に貢献しようとする気合いのようなものから学ぶことも多かったように感じます。「仕事ってここまでのクオリティで納品して、貢献しようということなんだ」ということを目の当たりにしたことが刺激になったと思います。
風間さん:
最初はみんな受け身でした。「やらなければいけないからやる」みたいな。サポーターのみなさんは直接採用には関わらない方々なので、自分の業務との紐づけも難しかったように見えました。
ただ、途中から変わっていきました。松原さんの大きな変化を目の当たりにしたり、自分の仕事にどう繋げていくのか?を佐藤さんと一緒に設計したりということを通して、トレーニングを自分自身の目標に活かす動機形成ができたことに価値がありました。目の前の学びを置き換えて自分のものにすることが出来るんだ、ということに気づけたことがスタッフのみんなの成長だったと思います。
なので、プロジェクトの前半と後半ではインプットの仕方が明らかに変わっていました。最初は”手法”を学ぶために参加する、という感じでしたが、後半にかけて、自分自身が作りたい成果から逆算して学びを得る、という姿勢に変わっていきました。
また、松原さんに関しても、トレーニング3回目くらいのタイミングから明らかな変化を感じました。最初は、「会社が作ってくれた場に参加し、自分がかっこよく働けるように頑張る」という状態だったと思います。それももちろん素晴らしいのですが、用意されたところにただ入る、環境を享受するだけではなく、「自分自身が良い場を作るんだ」「お客様に喜んでもらうために頑張るんだ」という姿勢に変わっていきました。ある時から、トレーニング外でリクエストをしてきてくれるようになったんですよね。「風間さん、話を聞かせてください。時間を作ってくれませんか?」と。そのタイミングから”当事者”になりましたね。
そういった松原さんの姿勢の変化もきっかけとなって、メンバー同士で仲間に対するリスペクトが生まれたのも良い変化だったと思います。事業部をまたいで、「この人の頑張りを応援しよう」とサポーターの方も含めて一人ひとりにスポットライトが当てられたことがとても良かったです。
松原さん:
今風間さんからもあった、「リクエスト」ができるようになったのが大きな変化でした。今までは、何か相談したいことがあったときも、「今電話して良いのかな。忙しくないかな」と考えて手が止まっていました。そんな時に、佐藤さんからアドバイスをもらって、「リクエストして良いんだ。それがコミットするということなんだ」と思えるようになったんです。
また、トレーニングを経て社内での共通言語がすごく増えました。成果を出す上でのポイントや、話し方のコツなどについての共通言語が生まれ、かつトレーニングでみんながその必要性を理解していたので、トレーニング外でも共通言語を使ってお互いにフィードバックが出来るようになりました。トレーニング中に毎回、先輩メンバーにも私からフィードバックする機会があったことも大きな要因だったと思います。年齢関係なく、「相手のために伝える」ということが習慣になりました。
なので、トレーニングに参加したメンバーは、風間さんも含めて話すのが上手になったと思います。私自身も話し方を褒めてもらえる機会が増えました。先日、「佐藤さんが憑依しているみたいだね」と言われたのが嬉しく、特に印象に残っています(笑)。
また、今振り返ると人前で自信を持って話せるようになったことも大きな変化だと思います。それまでは、思いがあっても全体には発信できなかったり、ただ自分の中で苛立って終わってしまったりしていました。今では、その思いを伝えるための勇気と話し方を手に入れたので、「自分が作っていくんだ」というコミットメントをもって、人前で思いを伝えられるようになりました。
プロジェクト全体を通して一番印象に残っていることは何ですか?
赤池さん:
松原さんが本当に大きな変化を自分の手で手に入れていったことが一番印象に残っています。人が一人変わることによってこんなにチーム全体が変わるんだ、ということを改めて感じる機会になりました。チームメンバーだけでなく、事業部長の風間さんも松原さんの勢いに呼応して熱が入る、という好循環が生まれていたと思います。これまでずっと松原さんに素晴らしい関わりをし続けてくれた風間さん、松原さんが大きな変化を手に入れるきっかけを作ってくれたこのプロジェクトには感謝しています。
もう一つは、みんなが自分自身の体験をもってKEIPEのカルチャーを身に着けていってくれたことも印象的なことでした。KEIPEのリクルートは「一人の人の人生を、その時間で変える」ということにコミットする仕事です。それを社長の僕から言われる形ではなく、トレーニングや実践を通じて少しずつ、「KEIPEのカルチャーってこういうことなんだ」とみんなが体感できたこと。それが本当に大きかったと思います。
風間さん:
僕にとって印象的だったのは、一番最初のリクルートの“秘伝のたれ”を作る際のインタビューです。正直、本当にしんどかった(笑)。現在はマネジメントする立場で、現場から離れることが多くなっていたので、過去を振り返って今と照らし合わせて話すのが難しかったし、とても頭を使いました。ただ、その過程によって整理が出来ましたし、自分自身の考えもアップデートされました。全社的にも注目されていたプロジェクトだったのでプレッシャーも大きく、不安ではありましたが、振り返るとこの機会があって本当に良かったなと思います。
松原さん:
私にとっては、プロジェクトの全てが本当に印象に残っています。ただその中でも”秘伝のたれ”を作るインタビューにオブザーブで参加した時のことは特に印象に残っています。最初に参加したときに、佐藤さんと風間さんのやりとりを見て「やばい…」ってなったんですよ。佐藤さんのスピード感と、風間さんの言葉の厚み。正直怖かったです。トレーニングよりもオブザーブで入っている方が疲れました(笑)。
でも、あの場にいて空気感を感じられたのが、すごく貴重な経験でした。いつものKEIPEの空気とは違ってて、“これがENERGIZEのミーティングなんだな”って、リアルに体感できたんです。
風間さん:
確かに、自分たちだけではなく、社外の人が事業を作るところに入ってくれたことによって、事業も自分自身も大きくアップデートすることができました。佐藤さんとの対話によって、今まで周りに合わせて自分を抑えていた部分も、「このスタイルで行って良いんだ」と再確認することができました。
ENERGIZEや担当コンサルタントに対してどのような評価がありますか?
赤池さん:
ENERGIZEのメンバーは、それぞれの経験の中で自分たちで実践してきた知見を活かしてアウトプットをされている印象が強いです。秦さんには秦さんにしか出せない色があると思いますが、佐藤さんにも佐藤さんだからこそ出せる色があるように感じています。
コンサルは、上から「だからダメなんだよ」って言われるイメージがあるんですけど、ENERGIZEは全然違って、僕らと一緒に伴走してくれる。コンサルの先生ではなく、未来を一緒に作っていくパートナー、道を進む時に並走してくれるコーチ、そんな存在だと思っています。
風間さん:
もともとENERGIZEのことは知っていたので、憧れていた会社と一緒に仕事ができたこと自体が嬉しかったです。特に佐藤さんは、コミットの量が段違いでした。オーダーメイドで私たちの課題やリクエストに応じて、柔軟に対応してくれました。最初に決められた日程の中でのみ動いていくものだと思っていたのですが、都度メッセージをくれたり、追加で打ち合わせをしてくれたりなど、そこにすごく感動しました。
成果さえ出せればOKという人もいると思いますが、そうではなくプロジェクトで扱う領域の周辺のことやKEIPEの未来のことまで一緒に考えてくれました。特に、佐藤さんがトレーニング中のある時、サポーターのあるメンバーと追加で1on1をしてくれて、普段あまり多くを話さない人が心を開ける相手になってくれた。その方の今後の未来を引き出してくれた、その関わりが本当にありがたかったです。自分たちの思いを任せられる人だなと感じました。
松原さん:
私はもう、純粋に“大好き”です。「ここまで他の会社にコミットしてくれるんだ」と驚きでした。私たちも対人支援をしているので、すごくいい刺激になりました。お客様に喜んでもらうとはこういうことなんだ、と体感することができました。
京都支社の方とは計3名とお会いしましたが、ENERGIZEは“やばい会社”です。いい意味で(笑)。
弊社のサポートを、どんな企業におすすめしたいですか?
赤池さん:
「トップパフォーマーのやり方をそのままメンバーに真似してほしい」という企業にももちろん良いと思うのですが、それ以上に「自分たちが大切にしているカルチャーや哲学があるが、うまく表現できない」という課題を抱えている企業には特に合うと思います。
思うように表現ができていないが確かに頭の中にイメージがあるものに対して、どのように可視化するか、言語化するかをENERGIZEが一緒に伴走しながら一緒にアウトプットを出していくイメージです。ENERGIZEの中に色々な引き出しがあるので、まずは言語化するところから、アウトプットしていくパートナーを探している企業にはぴったりだと思います。
投資を上回るリターンを一緒に考えてくれる仲間だと思うので、外部の仲間として、一緒にやっていきたい企業にはぜひおすすめしたいです。
風間さん・松原さん:
自分たちとは違う業態の会社の方もむしろ面白いのではないかと思います。一代で作り上げたような会社、時代の変化に対して社内体制がなかなかアップデート出来ていないような会社こそ、ENERGIZEの支援はハマると思います。 自分自身の変化も含めて、「やってみたい」「自社を変えたい」と思ってる企業にはおすすめです。
担当コンサルタントより一言
赤池さん、風間さん、松原さん、インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。半年間このプロジェクトで皆様とご一緒させていただいて、御社の本当に素敵な文化と、素敵なメンバーの方々にいつも私が刺激をいただいておりました。
一番にこのプロジェクトにコミットしてくださった赤池さん、風間さん、そしてそれに120%のエネルギーで応えてくださった松原さん、サポーターのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
「自分たちが運命の人になる覚悟を持ち、成長していけば、多くの人の働く歓びが広がっていくはずだ」という御三方の言葉を体現されていた半年間だったと感じております。
御社のVISIONの実現に少しでも力になれておりましたら幸いです。いつもありがとうございます。