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提案型営業とは?提案型営業のステップを解説

2021.02.5

時代の流れとともにいくつもの営業手法が誕生しています。自分の会社ではどの営業手法が主流となっているでしょうか。
今回は、提案型営業というキーワードを知り、知識として覚えておきたいと考えている方に向けて解説していきます。実際に提案型営業を行う上でのステップやコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

提案型営業とは?

提案型営業の意味

まずは提案型営業の意味について理解していきましょう。

提案型営業とは「クライアント(お客様)のもつ課題を見極めて、自社の商品・サービスを通じて解決策を提案する」営業スタイルのことを言います。

「クライアントがもつ課題」には大きく2種類あります。
一つ目は、クライアント自身がすでに認識している課題=顕在的な課題です。
二つ目は、クライアント自身が認識をしていない本質的な課題=潜在的な課題です。

提案型営業の目的はクライアントの課題を解決することです。クライアントには顕在化している課題だけでなく、クライアント自身では気づかない、潜在化した課題が存在します。そこにこそ、深いニーズがあるということです。

つまりは、根本的な課題に対し、効果的な解決策を適宜提案していくことが求められます。

他の手法との違い

続いて、提案型営業とは異なる営業手法について見ていきましょう。

今回は、先ほど紹介をした「提案型営業」と、「御用聞き営業」「ソリューション営業」を比較していきます。

営業手法定義
提案型営業クライアントのもつ課題を見極めて、自社の商品・サービスを通じて解決策を提案する営業
御用聞き営業クライアントのニーズに応じて注文を受け、要望通りに自社の商品・サービスを提供する営業
ソリューション営業クライアントの課題に対して解決策を提案し、課題解決の合意を重視する営業

それぞれの違いを少し具体的に説明します。

「提案型営業」と「御用聞き営業」の違いは、クライアント自身がニーズを提示するかどうかです。「御用聞き営業」では、クライアントが提示したニーズに対して適切に対応することを手段としています。一方「提案型営業」は、クライアントの課題に対して様々な側面から提案することを手段としています。

「ソリューション営業」は広義では「提案型営業」に含まれることもあります。ただ、「ソリューション営業」の場合、クライアントとの課題解決の合意を重視しており、双方向の営業活動が行われます。

やり方に違いはあるものの、どの手法もクライアントの問題解決を行うことを目的としています。

提案型営業で得られるもの

提案型営業を行うことで、以下のような結果を手に入れることができます。

・クライアントをうならせる「感動を呼ぶ提案」「理知的な提案」に磨きがかかる
・自社商品を売り込まなくても売れるようになる
・「売り込まなければならない」というストレスから解放される
・成約率や成約数が増加する
・リピート、口コミ、紹介が増える
・クライアントが納得感・満足度の高い買い物をできるようになる
・クライアントの潜在的なニーズに応えることで感謝される
・営業へのやりがいを感じるようになる
自身のやりがいやスキルの向上だけでなく、クライアントにメリットを提供することもでき、それに伴う自社への利益にも繋がります。

提案型営業が有効な理由

商品ニーズの多様化に応えられる

クライアントの多様なニーズに応えることができるため、提案型営業の需要は高まっています。

一昔前まではパンフレットを見るだけで商品の選択することができていました。しかし近年では、情報過多の世の中になり、クライアント自身で何を選択したら良いのかが判断しにくくなっています。また、インターネットなどの技術革新の影響により、商品開発のスピードが格段に上がり、良好な商品・サービスを容易に模倣できるようになりました。その結果、クライアントにとっては商品・サービスの違いを判断することが非常に難しい状況です。

しかし、提案型営業であれば各クライアントに合った提案を行うため、クライアントは自分に合った商品・サービスを選択しやすくなります。

インターネットによる営業ができる

提案型営業は、ウェブサイト上で営業を行うことができるため、「電話での営業」や「飛び込み営業」を行う必要がありません。

インターネットが無い時代、クライアントは営業から情報を得る必要があったため、企業側からのアプローチが必要でした。しかし、インターネットの普及により、ウェブサイト上で情報を得ることができるようになりました。そのため、オンライン上で買い物を完結することができます。

具体的には、クライアントがインターネットにある情報から商品・サービスを認知し、必要性を感じることで興味関心を持ちます。その後、自身が抱える問題に対する解決策になると判断した場合、クライアント側から企業に対して自発的にアプローチするようになります。

つまり、クライアントはある程度の興味を持った状態で話を聞きにくるため、営業の時間的コストの削減だけでなく、成約率の向上にも繋がります。

売り上げの上限を超えられる

クライアントのニーズに限りがないからこそ、売り上げの上限を超えることが可能になります。

顕在化したニーズに応えるだけでは、売り上げの伸びに限りがあります。ただ、提案型営業はクライアントの潜在的ニーズにまでアプローチするため、クライアントから必要とされ安くなります。結果として、企業の売り上げの向上に繋がります。

設計・開発部門や製造部門なども営業マンと協力することで企業として一体となり、商品開発やサービスの向上をする必要があります。

リピートや他商品の提案ができる

リピート率を上げるためには、顧客満足度の向上は不可欠です。

顧客満足度は、サービス利用前のクライアントの「期待」よりも「実績」が上回ることで獲得することができます。顕在化したニーズに応えるだけでは「期待」を超えることはできません。提案型営業の場合、潜在的なニーズへのアプローチが可能なため、クライアントが期待していなかった成果を手に入れることができます。

また、クライアントのニーズに応えるためには一つの商品だけでなく、自社内の複数の商品・サービスを提案する必要があります。その結果、ニーズに応えるだけでなく、自社の複数の商品・サービスを知ってもらうことでビジネスチャンスが広がります。

クライアントとの関係を構築したうえでセールスができる

提案型営業の目的は、クライアントの課題解決を目的とした営業活動です。目的が明確であることで、クライアントの立場になって物事を考えているという姿勢を伝えることができます。クライアントにとっては、メリットのある話をしてもらうことができるので、企業に対する信頼が醸成されます。つまり、信頼関係を構築した状態でセールスを行うことができるため、成約率の向上に繋がります。

提案型営業のステップ

状況の把握

営業を行う前には事前の情報収集、つまりはクライアントの状況を把握しておくことがカギとなります。クライアントの代表、担当者、資本金、事業内容といった基本情報を得ておく必要があります。さらには、その業界の動向、業界の専門用語、競合の動向などを調べておくことでクライアントのニーズがどこにあるのかの仮説を立てしやすくなります。さらには、営業を行う際のクライアントとのやりとりがスムーズになります。

クライアントとの関係構築

提案型営業は、クライアントに対していきなり営業を行うものではありません。最重要プロセスである「クライアントとの関係構築」をまず初めに行います。クライアントの本音なしには本質的な課題解決を行うことはできません。

本音を引き出すためには、まずは自分から心を開く必要があります。そのため、このプロセスでは提案についての話は一切入りません。重要なことは「貴社のパートナーとして一緒に問題解決を行い、貢献をしたい」という姿勢を伝えることです。

課題のヒアリングと整理

関係構築ができた上で、クライアントが現状抱えている問題についてヒアリングを行っていきます。その際、ただ話を聞くのではなく、事前に準備をした仮説をもとに質問をし、問題を掘り下げていきます。そうすることで現状の問題が顕在化するだけでなく、潜在化している本質的な問題のヒントを得ることができるかもしれません。その後、ヒアリングした内容を整理するとともに、問題解決において取り組むべきことも整理しておきます。

課題認識のすり合わせ

整理しておいた内容をもとに、再度仮説を立てます。ひとつの問題に対して複数の仮説を立てておくことで、クライアントとの大きな認識のずれが生じることを防ぐことができます。課題の認識をすり合わせる際には、認識のずれを一切なくすことが重要となります。齟齬が起きた状態で話を進めていくと的外れな提案を行うことになり、成約率の減少にも繋がります。課題認識のすり合わせは、本質的な問題解決、そして成約率の向上には欠かせないプロセスです。

解決策としての商品提案

課題に対する解決策として商品提案を行います。重要なことは自社商品の紹介をすることを目的にするのではなく、クライアントの課題解決が最大の目的であることを忘れないことです。自社の利益を優先して高い商品が売れたとしても長期的な関係には繋がりません。クライアントを尊重し、対話の中でクライアント自身で意思決定ができるような流れを作ることが必要です。

不安の解消

クライアントに快く契約をしてもらうためにも、クライアントの不安を解消しておく必要があります。契約後にどのような流れで問題解決を行うのかの見通しを立て、計画書を作成します。それだけでなく、パートナーとして新たに発生する問題を予期し、事前に原因が特定できるようにサポートを行います。これらにより、たとえ直接的な商品の販売にならないとしても、長期的な関係構築に繋げることができます。

提案型営業に必要なスキル

コミュニケーション能力

提案営業においてコミュニケーション能力はなくてはならないものです。クライアントとの関係構築、ヒアリング、提案、不安の解消など、営業における全工程において必要な能力です。

クライアントのタイプに合わせた対話や、その場その場での柔軟な対話が求められます。コミュニケーション能力は、日々のトレーニングにより身につけることができます。さらには磨き続けることもできます。

課題ヒアリング能力

課題の特定をする際に必要なのが課題ヒアリング力です。クライアント自身で問題を整理し、課題が特定されていることはまれです。ヒアリング力があることで話を整理し、クライアントに提案を理解してもらいやすい状況を作ることができます。また、顕在化している課題を特定するだけでなく、潜在化している本質的な課題を特定するためにも欠かせない力です。

仮説立案力

仮説立案力は営業を行う上で、問題を特定する際にも解決策を提示する際にも必要です。クライアントが気づいていない潜在的な課題を仮説立てて説明をすることで、本来のニーズが見つかるかもしれません。また、一つの問題に対して複数の仮説を立てる力があれば、クライアント自身でどの解決策がいいかを意思決定するサポートにもなります。仮説を立てる際には、立てた仮説が根拠に紐づいているかどうかが大切です。

プレゼンテーション能力

最終的に成約の決め手となるのは、やはりプレゼンテーション能力です。たとえ、仮説や解決策が良いものであっても、提案の際にクライアントの心が動かなければ成約には繋がりません。「人は論理で納得し、感情で動く」という言葉をよく耳にします。つまり、「論理的な説明」はもちろんのこと、「話し方、表情、動作」もプレゼンテーションにおいては必要なスキルであるということです。

提案型営業のコツ

不安の解消

提案型営業では、クライアントとの信頼関係が重要なカギとなります。信頼を得るためにも、クライアントが不安のない状態にする必要があります。そのためには、提案の時点で考えられるクライアントの不安を先回りして提示することや、提案後にも疑問の解消に真摯に向き合うことが大切です。不安の解消によってクライアントからの信頼を得ることが結果的には成約率の向上に繋がります。

常にクライアントの立場で

提案型営業におけるどのステップにおいても、クライアントの問題解決が最大の目的であることを忘れてはいけません。営業を行う際には、自社の利益や成約率は気になるものです。ただ、仮説立てや提案において迷った時にはクライアントの立場から考え直してみましょう。クライアントの立場で一緒に問題解決をすることが第一優先であり、自社の利益は副次的についてくるものです。

まとめ

提案型営業は、自社の商品・サービスを売り込むためでなく、クライアントの問題解決を行うことを一番の目的としています。だからこそ、クライアントに感謝されながら、自社の利益を向上させることができます。さらには、どの業界や業種にも適応することができるため、ニーズに限りはありません。また、提案型営業に求められるスキルは日々のトレーニングによって身につくものですので、ぜひ取り組んでみてください。

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